客先常駐で感じる難しさ

 客先常駐のシステムエンジニアとして働く事は、自社内勤務をしている時と環境的に大きく異なります。それでも一社から集団で派遣される時はまだ良いのですが、チーフエンジニアなどリーダーのような役割を持つエンジニアが別の会社から来ている場合などは、どうしても自分の立場が曖昧になります。業務的に確認したい場合でも、本来なら客先の担当者に直接指示を受けたい様な状況でさえ、招集されたエンジニアの立場では直属の上司となるチーフエンジニアを立てる事が時に求められます。
 場合によっては業務的にではなく、人間関係の面で客先常駐の難しさを感じる事になります。それ故に出向中は居場所を見失いやすく、孤独感に苛まれる事も少なくありません。どの様な仕事をする上でも、人間関係は特に重要です。業務そのもののハードさ以上に、行き場のない不安から将来さえも明るく感じられない事もあるかもしれません。このまま追い込まれた状況下から脱出出来ないとさえ、思い悩んでしまう事もあるでしょう。それだけ客先常駐システムエンジニアは自身の身の置き所が難しく、長期間の勤務は心の平穏ささえ脅かしてしまいかねないのです。

 一方でエンジニアとしてのスキルアップが果たせる場合もあります。テクニカルなスキル以上に人間関係を学びますから、打診の仕方や根回しの方法、仕事をスムーズに行う手段などを学べる事もあるでしょう。それだけに、薬にも毒にもなる注意が必要な働き方だと言えるのです。常駐先は職場の気のおける仲間と和気あいあいという状況かはわかりませんから、人で疲れてしまわない様に自身の精神をコントロールする術を身に付けておきたいものです。